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2008年8月30日 (土)

晴れた日に永遠が見える-加藤文彦写真展、新宿コニカミノルタプラザ

2000年前後の主として関西を中心とした風景写真です。建築現場だったり、古びた団地だったり、高速道路だったり、本当にありふれた景色の写真が並んでいます。

例えば1999年滋賀県栗東市で撮された写真があります。工事現場の写真。造成地は赤土が剥きだしになって整地されています。植林のために若木が数本、荒縄で括られて赤土の上に転がされています。その横にはパワーショベル。

この作品は一見すると日に褪せてしまったカラープリントのように見えます。けれどもスローシャッターで撮られた作品は、パンフォーカスの精密に撮られた写真であり、その発色に間違いはないことが素人の私にもわかります。

赤土の写真はその他に数枚あります。それは高速道路脇の工事現場であったり、無惨に晒されるその赤土が目立つその写真は、どれも何かねぼけたような第一印象です。が、それはこの写真家の綿密な計算であるということが次第にわかってきます。

会場入り口の挨拶文で、作者は古い幕末の江戸の写真に興味があると書き記しています。並んでいる作品を見てもそれが何の関連があるのか、作者の意図をすぐには理解できません。

ただどの作品も遠くからから眺めると、古ぼけた写真に見えないことはない。つまり写真が古びているではなく、写されている風景が古びているのだということに気づかされるわけです。

これがつまり作者の狙いです。そしてその狙いは成功しています。

写真が写された時代が2000年前後の関西ということも影響しています。不景気のど真ん中だったのでしょう。どの写真も午後の気怠い感じの憂鬱感、無力感が漂っています。奇を衒ったわけではなく、精密に(言い方によっては愚直に)撮り続けていくうちに、時代の空気感が写し出されてしまったのです。

この作品展の意図から外れてしまうかもしれませんが、私自身の好みで言うと、赤土の写真は嫌いではありません。

大地を荒され、その内蔵を晒されているような赤土のイメージは、フェティッシュなエロチシズムをかきたてられますから。

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