大山高写真展-Freezing at moment-新宿ニコンサロン
東京を舞台に行き交う人々を撮りためた写真集です。被写体となっているのはいわゆる市井の人という表現がピッタリでしょう。東京近郊、私鉄沿線の駅にいるような地味な感じの人が多いなと思っていたら、銀座や渋谷の見慣れた繁華街の写真もあり、その風景が何か変だなと思っていたら、それもそのはず、撮影されたのが1980年から1995年ということ、なるほどと納得しました。
新しくリプリントされた結果かもしれませんが、写真そのものに古さは感じさせません。もっとも二十年という歴史は私の年代の人間にとってはあっと言うまで、現代との違いはわずかしか感じられませんが、若い人が観たとしたら、登場する人たちのファッションや髪型を含めて、隔世の感を抱くかもしれません。
私自身の記憶で言えば、1980年から90年代とは、女性の総合職が採用され、男に伍してバリバリ働く女性が登場してきた時期に重なるように記憶しています。
それを象徴するかの写真があります。レザーのタイトスカート、小脇にショルダーバックを抱え、胸元で暴れるペンダントを手で抑えながら、商店街をハイヒールで疾走する女性の写真です。
あの頃、本当に女性が眩しく見えたのは1980年という時代だったのか、それともあの当時、バブルを経て失われた十年、私自身何か疲れきったような感じしか残らない私自身の問題かは判然としませんが……
組写真になっているある作品が印象的です。左側の写真はハッとするほど清楚で美しい女子高生、後ろから呼び止めたのでしょうか半身になってレンズを見つめています。右側の写真は児童公園にあるコンクリートの遊具、それは小山のように盛られていてトンネルが掘られています。そのトンネルの形が象徴的であり、性的な暗喩として、女子高生の写真と並べられているとしか考えられません。まさしくこの写真が撮られた二十年前、作者も二十代だったとのことです。
何度もここで書いていることですがモノクロ写真というのは、例えば色のついた夢を見ることが少ないように、私達の記憶の喪失と、シンクロナイズするところがあります。モノクロ写真の写真家は写真の中から何かをこそげ落とし、何かを残します。だから二十年前、街行く女性たちをスナップしていた作者の、ある種ギラギラさせていたものも、時代を経て優しく残してくれるように思えます。
多分私が一番知りたいのはこの作家(恐らく現在は40才代の男として)が今も二十年前と同じくスナップ写真を撮り続けているのかということ、そしてさらに二十年後どのようにそれがみえるのかということです。
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