斎藤和男写真展-東京ロンド-新宿ニコンサロンbis
モノクロの銀塩写真による作品集です。 被写体として選ばれたのは東京の行き交う人たちです。 犬の散歩をする人も、 お祭りに行く途中の人も、 楽器の練習をする人も、 井戸端会議をしている人も、 仕事をしている人も、 普通の人たちの普通の表情があります。
モノクロ写真ゆえ、ということもあり、 なかなか撮られた時代というのがわかりにくいのですが、 背景から察してそれほど昔の写真ではないようです。
私自身、街角のスナップ写真というものを見るとき、 何故かしら息を凝らして見てしまうところがあります。 それは被写体となった人たちをどのような関係のもとに撮影したのか、 盗み撮りなのか、それとも了承の上に撮ったのか、 シャッターを押した後に何で撮ったのか、と揉めたりしないのか、 余計な心配と言えば余計な心配なのですが、 とにかく被写体となった人の視線をまず見てしまうところがあります。
シャッターを押す一瞬で、 被写体となる人の関係をうまく掴んでしまうことができる能力、 そんなものが写真家に必要な能力のように思えます。 このあたりがこの作者は絶妙であり、 視線の合っている人の写真もあるし、 隠し撮りのような写真もあり、 それらの写真の組み合わせが巧みと言えるでしょう。 そしてそこに写る人たちの表情が柔和であるのは、 この作者自身の人柄の投影でもあります。
ふらりと散歩がてら、 気になった風景や人たちを次々とスナップしていく、 というのは写真を撮るひとつの醍醐味であるわけで、 一枚一枚現像まで含めて作品に仕上げていく、 写真を観る楽しみよりも、撮る楽しみが勝っている類の写真です。
そして撮る楽しみ、 現像する楽しみが写真一枚一枚に溢れ出ているかのように、 観るものも楽しめる、 その意味では写真の王道を行く作品と言えます。
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